精神リハビリテーション科
精神リハビリテーション科紹介
精神的な不調は、様々な原因によって起こります。精神リハビリテーション科では、体・心・環境に働きかけて健康を回復する支援をしています。そのための専門職員として作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師(臨床心理士)が在籍しております。精神リハビリテーション科があるのは御坊医療圏域では当院だけです。
ひだか病院の特色として、精神科だけでなくほかの診療科の外来および入院患者様へ、専門職種の職員と連携・協働しております。また公的病院の立場から、講演や各種会議への参加などを通して地域住民の精神的な健康に貢献するよう日々業務に従事しています。
ご利用の際は、主治医にご相談いただくか、精神科相談室にお問い合わせください。
以下に精神リハビリテーション科に所属する専門スタッフ(カッコ内は所属人数)の紹介をします。
精神科作業療法士(4名)
「精神科作業療法士による、その人らしい生活を支えるリハビリテーション」
「作業療法」ってちょっと聞きなれない言葉かもしれませんね。簡単に言うと、食事をする、着替える、入浴する、家事をする、仕事をする、趣味活動をするなど、人が生活を送る上で必要なあらゆる活動を通して、心や体の機能回復や維持、そしてその人らしい生活を送れるようにサポートするリハビリテーションのことです。
精神科の作業療法士は、精神障害によって起こる、生活行為を適切に行えない状態を改善し、健康と幸福に貢献する以下のようなリハビリテーションを提供しています。
まずは、ご自身を知るために様々な検査技法や面接を行います。検査や面接を通して、あなたの強みや困っていることを詳しく理解していきます。 例えば、以下の検査があります。
統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J):記憶力や注意機能など、認知機能の状態を把握します。
サイコーシスの認知バイアス質問紙(CBQp):考え方の偏りを理解する手がかりにします。
作業機能障害の種類と評価(CAOD):日常生活を送る上での困難さを把握します。
検査結果や面接の説明をふまえ、ご自身に合わせた作業療法を提供します。 例えば、以下の作業療法があります。
家事や仕事など、日常生活に必要なスキルの向上:記憶や集中力、計画力といった認知機能を高めることで、困っていることやできるようになりたいことに合わせて、認知機能リハビリテーション、メタ認知トレーニングなど行います。
趣味や興味を見つける、または再開するサポート:手芸、絵画、音楽、スポーツなど、その人が楽しめる活動を通して、意欲や自信を高めたり、他者との交流を促し、社会とのつながりを築いたりするお手伝いをします。
ストレスへの対処方法を身に着ける練習:クライシスプラン、マインドフルネスなどを用いて、つらい気持ちになった時の対処法や、気持ちを落ち着かせる方法、リラックスできる方法、問題解決の方法などを、一緒に考え、練習します。
社会参加への準備:デイケアや地域活動への参加を促したり、履歴書の書き方や面接練習など、就労に向けての相談や練習を行ったりします。
生活リズムを整えるサポート:規則正しい睡眠や食事など、健康的な生活を送るためのアドバイスや具体的な方法を一緒に考えます。
紀州鉄道紀伊御坊駅から見た精神科病棟
精神保健福祉士(3名)
当院精神リハビリテーション科では、精神保健福祉士が、患者様が地域で安心して自分らしい生活を送れるよう、多職種と連携しながら支援を提供しています。
相談支援(外来・入院):
精神疾患を抱える患者様やそのご家族からの様々な相談に対応いたします。
・生活上の困りごと、経済的な問題などのご相談に応じます。
・障害福祉サービス、障害者手帳、年金制度など、利用できる福祉制度について情報提供を行います。
・地域で利用できる様々な社会資源(相談支援事業所、グループホーム、就労支援事業所など)の情報提供や利用調整を行います。
・患者様だけでなく、ご家族からの相談にも応じ、必要な情報提供等を行います。
退院支援: 患者様一人ひとりの状況や意向を丁寧に伺い、住居、就労、経済的な準備など、退院後の生活に必要な支援を計画・調整いたします。
・退院前カンファレンスの実施: 医師、看護師、作業療法士など多職種と情報共有を行い、スムーズな退院に向けた連携を図ります。
・地域資源の情報提供: 地域の福祉サービス、医療機関、相談支援事業所などの情報を提供し、退院後の生活をサポートします。
・退院に向けた具体的な準備支援: 必要に応じて、関係機関との連絡調整、申請手続きのサポート、家屋訪問などを行います。
・退院後のフォローアップ: 退院後も必要に応じて相談に応じ、地域生活への移行をサポートします。
公認心理師(臨床心理士)(2名)
心にまつわる問題や悩みを持つ方に対して、専門的な知見(心理学など)をもとにサポートを行う専門職です。
精神科に通院・入院の患者様だけでなく、精神科以外の科に通院・入院されている患者様に対してのサポートを行っています。カウンセリングや心理検査をはじめ、認知症疾患医療センターや精神科デイケア、精神科訪問看護、緩和ケアチームなどでも活動しています。
カウンセリング:悩みや解決したい問題などについて共に考え、患者様のよりよい「生(生活・生命・人生)」を実現していくためのお手伝いをさせていただきます。医師-患者様-心理士でカウンセリングの方針や方法を相談しながら行っていきます。必要な場合は様々な心理療法の手法に取り組むこともできます。
心理検査:小児~成人を対象とした心理検査を行っています。発達検査(知能検査)や性格検査、認知機能検査など、扱う心理検査は様々です。
認知症疾患医療センター:主に認知機能検査を担当しています。MMSEやHDS-Rをはじめ、その他神経心理学検査を行っています。
精神科デイケア:デイケアのレクリエーション(心理相談など)を担当しています。
緩和ケアチーム:がんと診断された患者様やご家族に対し、心理的・スピリチュアル的な苦痛に対するサポートを行います。患者様/ご家族様と直接お話させていただく場合もありますし、他の医療スタッフと連携し、様々な痛みの緩和についてサポートさせていただく場合もあります。
その他:地域の方への心理学(メンタルヘルスなど)に関する講演や、教育領域における講演なども行っています。